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相続欠格制度とは?

札幌市中央区の当事務所は、各種相続手続のサポートをしています。不動産、預貯金、株式、投資信託などの各種相続手続にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は無料です。

さて、札幌で相続相談を実施しているときに、たまに聞かれるのが「相続欠格」についてです。たとえば札幌市に住んでいたAさんが亡くなり、相続人はAの子であるB及びCだが、どうやらBは相続欠格になっていて相続権がない。このように、相続欠格は相続人から相続権という権利を奪ってしまう制度です。

どのような場合に相続欠格となって相続権を失ってしまうのか、札幌で相続手続業務に取り組む司法書士が解説します。

相続権を剥奪する「相続欠格制度」とは

繰り返しになりますが、相続欠格とは、相続の場面において、特定の相続人の相続権を否定する制度です。どのような事態になると相続欠格となるのかについては、民法第891条各号に規定されています。次のいずれかに該当すると、相続権が剥奪されるのです。札幌でも稀に相続欠格になる人がいるので注意が必要です。

相続欠格になってしまう原因のことを「相続欠格事由」といいます。民法によると、相続欠格事由は以下の通りです。

  • 被相続人、または先順位・同順位の相続人を故意に死に至らしめた者(同条1号)
  • 被相続人の殺害されたことを告発せず、または告訴しなかった者(同条2号)
  • 詐欺・脅迫により、被相続人の遺言書作成行為に不当な干渉をした者(同条3号・4号)
  • 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者(同条5号)

たとえば、札幌のAさんの子であるBが、Aさんが作成した遺言書を発見し、それが自分に不都合な内容だったとしましょう。このままAが死亡したら、自分自身は札幌にある土地も預貯金も何もかも受け取れないと思ったBさんが、そのAさんの遺言書を破棄したとします。これが相続欠格事由(5号)にあたり、このような相続人としてふさわしくない行いをしたBさんは、相続欠格者として相続権が否定されるというわけです。

「遺言書の破棄」に限らず、いずれの事由も見て分かるように、上記の相続欠格事由はいずれも相続人としてふさわしくない行為です。これらの行為をした者から相続権を剥奪するとの考えは、元をたどればとても古く、ゲルマン法の「血塗られた手は、遺産を受け取れない」という法格言に基づくものなのです。

相続権を否定するために、具体的な手続は必要?

相続欠格によって相続権が否定される場合は、何らかの手続が必要なのでしょうか。たとえば札幌のAさんの推定相続人であるBから相続権を奪う際に、家庭裁判所に何らかの届出などをする必要はあるのでしょうか。あるいは、役所に戸籍の届出などが必要なのでしょうか。

相続欠格は、被相続人による推定相続人の廃除制度と違い、特段の手続きを必要としません。特定の相続人が上記の相続欠格事由のいずれかに該当すれば、その者の相続権は当然に(つまり何らの手続をせずとも)奪われるのです。※廃除について、詳しくは「 相続人の廃除制度とは」をご覧ください。

諸外国にも相続欠格に似た制度がありますが、相続権を剥奪するに際し、何らかの手続が必要かどうかは、国によって異なります。実は、相続欠格事由に該当した人から権利を奪うにあたっては、何らの手続を要しないという国もあれば、手続が必要だという国もあるのです。

■日本はフランス法の考えを採用
たとえばドイツとフランスはお隣同士の国ですが、相続欠格に対する考え方はだいぶ違います。

  • ドイツ法…
    欠格事由に該当した者から相続権を剥奪することで相続上有利になる者からの欠格者に対する相続財産取消訴訟の判決があってはじめて相続欠格の効果が生じるとする。
  • フランス法…
    欠格事由の発生によって当然に欠格の効果が発生する当然主義を採用している。

ドイツはやはり形式を重んじる国民性なのか、手続(訴訟)が必要としているの対し、フランスは自由気質の国民性のためか、相続欠格の効果は当然に生じるとしているのです。

日本の相続欠格事由は、フランス法の考え方を採用しています。

相続欠格を許すことはできる?

では、相続欠格に該当し、相続権が剥奪された者に、もう一度相続権を与えることはできるのでしょうか。たとえば札幌のAさんの遺言書を破棄したBでしたが、AさんはBのことを考え、Bを許したとします。したがってAが亡くなったときにBの相続を認めてあげたいとA自身は考えていますが、それは可能なのでしょうか。これを法的に言うと、宥恕(ゆうじょ)が認められるか否か、という問題です。

かつては宥恕(ゆうじょ、相続欠格者を許し、相続権を回復させること)を否定する見解が多数を占めていましたが、今では肯定する見解が有力となっています。つまり、民法の条文では宥恕を認めた直接の規定はないものの、宥恕は認められるべきだという見解が強くなってきているのです。

宥恕(ゆうじょ)が認められるべきだという根拠は、相続欠格者に生前贈与する等の行為が可能であるためです。つまり相続人の意思で、相続欠格者に財産を渡すことができるのだから、相続欠格者を許し、相続権の回復を認めてよいのではないか、ということです。

相続欠格になったら孫が相続する~代襲相続制度~

相続欠格で重要なのは、代襲相続制度との関係です。代襲相続に関しては「代襲相続とは~相続人の修正~」で解説していますが、相続人が欠格事由に該当することは、代襲原因になるのです。

したがって、札幌のAが死亡した場合に、その子Bに欠格事由があるのなら、Bの子Dがいた場合は、DがAの遺産を相続することになるのです。

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