相続税申告のご相談を多く受けていますが、ご相続人が心配になることの多くは共通しています。今回は、連続して相続が発生した場合の「相続税の申告期限」について、札幌の相続税専門税理士が解説します。
ポイントは、死亡の日から10か月以内ではなく、相続の開始を「知った日(の翌日)から」10か月以内です。被相続人がいわゆる孤独死で被相続人の死亡を後から知ったケースや、身元不明のご遺体が発見されてDNA鑑定した結果それが被相続人だったと後から分かったケースなどでは、この起算点が非常に重要になります。
では、相続が連続して起こった場合は、申告期限はどのように考えたらよいのでしょうか。
※以下、甲さんを被相続人とする相続税申告を「一次相続の申告」といい、乙さんを被相続人とする相続税申告を「二次相続の申告」といいます。
では、丙さんは二次相続の申告は乙が死亡したということを知った令和8年10月5日に行えば足りますが、一次相続の申告はいつまでに行えばよいのでしょうか。令和8年5月5日の翌日から10か月の期間内に申告しなければないのでしょうか。
この相続税法27条2項は、相続税の申告期限を修正する重要な条文です。分かりやすく要約すると、次のことが規定されているのです。
一次相続の申告をしないまま、相続人が一次相続の申告期限内に死亡した場合は、二次相続の相続人が、二次相続の相続開始の事実を知った日の翌日から起算して10か月以内に、一次相続の相続税申告を行えばよい
この相続税法27条2項の存在のおかげで、丙は、二次相続のみならず一次相続においても、令和8年10月5日の翌日から10か月以内に相続税申告をすることで足りることになります。
もし丙が一次相続において令和8年5月5日の翌日から10か月以内に申告しなければならないとすると、それは非常に酷です。二次相続の相続人ともなると、一次相続の被相続人とは疎遠であり、そもそも相続財産としてどのようなものがあるかを把握できていないことあるためです。
上記のケースにおいて、丙が一次相続の相続税申告書を、令和9年6月に提出したとしましょう。この場合、その書類を受け取った税務署の職員としては、一瞬「期限後申告だ」と判断するに違いありません。期限後申告だと判断した後に、よくよく調べてみると相続税法27条2項の適用ができるケースであると伝わることになるのが通常です。
しかし、税務署の職員の経験値によっては相続税法27条2項にまで考えが及ばないこともあるかもしれません。
仮に期限後申告として扱われてしまうと、「無申告加算税」と「延滞税」の対象と認定され、それらの納付書が後日届くことになります。
このような事態を回避するためには、そもそも期限後申告ではない、相続税法27条2項によって期限内申告となる、ということを積極的に伝えるべきだと札幌相続相談所の相続税専門税理士は考えます。
そこで相続税申告書を紙で提出する場合は、その送付状に次のように記載しています。
札幌相続相談所について詳しく知りたい方はトップページをご覧ください。
相続税の申告期限の基本
相続税法27条1項によると、相続税の申告は、「相続の開始があつたことを知った日の翌日から十月以内」に行う必要があります。ポイントは、死亡の日から10か月以内ではなく、相続の開始を「知った日(の翌日)から」10か月以内です。被相続人がいわゆる孤独死で被相続人の死亡を後から知ったケースや、身元不明のご遺体が発見されてDNA鑑定した結果それが被相続人だったと後から分かったケースなどでは、この起算点が非常に重要になります。
では、相続が連続して起こった場合は、申告期限はどのように考えたらよいのでしょうか。
相続が連続して発生した事例
相続税の相談に応じていると、本当に相続は人それぞれ状況が異なることを痛感します。札幌相続相談所の相続税専門税理士が受けたご相談に、次のような相談がありました。個人情報を特定されないようにしてご紹介します。連続して発生した相続
令和8年5月5日に札幌市北区の甲さんが死亡して相続が発生しました。甲さんの相続人は甲さんの子の乙さんのみです。
乙さんは相続税申告の準備を進めていましたが、なんとその5か月後の令和8年10月5日に、甲さんの後を追いかけるような形で乙さんは亡くなりました。この時点で、被相続人甲さんにかかる相続税申告はできておりません。
乙さんの相続人は、乙さんの子の丙さん一人です。丙さんは乙さんと同居していたことから、乙の死亡を死亡日である令和8年10月5日に知りました。
上記のケースにおいて、なすべき相続税申告は(甲さん乙さんの財産が相続税の基礎控除額を上回っているものとして)甲さんを被相続人とするものと、乙さんを被相続人とするものの2件です。そのいずれも、残された丙さんが申告しなければなりません。
乙さんは相続税申告の準備を進めていましたが、なんとその5か月後の令和8年10月5日に、甲さんの後を追いかけるような形で乙さんは亡くなりました。この時点で、被相続人甲さんにかかる相続税申告はできておりません。
乙さんの相続人は、乙さんの子の丙さん一人です。丙さんは乙さんと同居していたことから、乙の死亡を死亡日である令和8年10月5日に知りました。
※以下、甲さんを被相続人とする相続税申告を「一次相続の申告」といい、乙さんを被相続人とする相続税申告を「二次相続の申告」といいます。
では、丙さんは二次相続の申告は乙が死亡したということを知った令和8年10月5日に行えば足りますが、一次相続の申告はいつまでに行えばよいのでしょうか。令和8年5月5日の翌日から10か月の期間内に申告しなければないのでしょうか。
相続税法27条2項
ここで登場するのが相続税法27条2項です。相続税法27条2項
申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(~中略~)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(~中略~)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
この相続税法27条2項は、相続税の申告期限を修正する重要な条文です。分かりやすく要約すると、次のことが規定されているのです。
この相続税法27条2項の存在のおかげで、丙は、二次相続のみならず一次相続においても、令和8年10月5日の翌日から10か月以内に相続税申告をすることで足りることになります。
もし丙が一次相続において令和8年5月5日の翌日から10か月以内に申告しなければならないとすると、それは非常に酷です。二次相続の相続人ともなると、一次相続の被相続人とは疎遠であり、そもそも相続財産としてどのようなものがあるかを把握できていないことあるためです。
申告書提出時の注意点
上記のことまでは、他の事務所のホームページなどでも紹介されていることでしょう。以下は、相続税専門の税理士が運営する札幌相続相談所の独自の取り扱いをご紹介します。上記のケースにおいて、丙が一次相続の相続税申告書を、令和9年6月に提出したとしましょう。この場合、その書類を受け取った税務署の職員としては、一瞬「期限後申告だ」と判断するに違いありません。期限後申告だと判断した後に、よくよく調べてみると相続税法27条2項の適用ができるケースであると伝わることになるのが通常です。
しかし、税務署の職員の経験値によっては相続税法27条2項にまで考えが及ばないこともあるかもしれません。
仮に期限後申告として扱われてしまうと、「無申告加算税」と「延滞税」の対象と認定され、それらの納付書が後日届くことになります。
このような事態を回避するためには、そもそも期限後申告ではない、相続税法27条2項によって期限内申告となる、ということを積極的に伝えるべきだと札幌相続相談所の相続税専門税理士は考えます。
そこで相続税申告書を紙で提出する場合は、その送付状に次のように記載しています。
送付状に記載する文言
本件の相続開始日は令和〇年〇月〇日ですが、本件の被相続人の相続人である△△は令和□年□月□日に死亡しており、△△の相続人である◎◎は、令和□年□月□日に△△の相続開始を知りました。
このような場合は、相続税法27条2項の適用によって、相続税申告の期限が令和〇年〇月〇日から起算するものではないと理解しております。この度提出した書類をあわせてご確認いただけたら幸いです。
送付状に具体的な時系列を示した上で「相続税法27条2項」という文言をはっきりと記載することで、税務署の職員の確認もスムーズに進むだけでなく、無申告加算税や延滞税の心配もなくなるのです。
このような場合は、相続税法27条2項の適用によって、相続税申告の期限が令和〇年〇月〇日から起算するものではないと理解しております。この度提出した書類をあわせてご確認いただけたら幸いです。
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