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不動産の遺産分割方法

現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類


札幌で相続手続を数多くサポートしていますが、不動産の相続手続(相続登記)に関するご相談やご依頼をいくつもいただきます。

不動産は現金や預金のように簡単に分割できるものではありませんので、「分け方」が問題となります。この場合には、一つの不動産につき相続人を一人にしてしまう方法と、複数の相続人間で現金などと同様に分割する方法とが考えられます。

今回は、不動産を分割して相続したい場合の方法について、具体的な事例に基づいて札幌の司法書士が解説していきます。


遺産分割の方法

以下では、次のような場合の相続を想定して解説します。

事例:死亡した札幌のXは、妻Yと子どもABとの4人家族です。Xの遺産は札幌市中央区の甲土地(時価6000万円)と、現金3000万円です。遺言はありません。各相続人の法定相続分は、Yが1/2 ABがそれぞれ1/4ずつです。

この場合に、不動産の分け方は次の4種類が考えられます。


■1、現物分割

現物分割とは、まさに目的たる遺産を相続分に応じて分割する方法です。
事例では、札幌市中央区の甲土地を3つに「分筆(一つの土地を複数の土地に分ける手続)」して各相続人が相続することとなります。
したがって、具体的な相続分は以下の通りです。

  • Y現金1500万円+札幌市中央区の甲土地の1/2(時価3000万円相当)
  • A現金750万円+札幌市中央区の甲土地の1/4(時価1500万円相当)
  • B現金750万円+札幌市中央区の甲土地の1/4(時価1500万円相当)

この方法は分割方法の中でもわかりやすく、原則的な手段といえます。ただし、甲土地上に建物が建っていて土地の分割が事実上不可能な場合などには適さないでしょうし、分筆することは手間やコストが必要です。


■2、代償分割

代償分割では、不動産自体は誰かが単独で相続します。その代わりに、本来他の相続人が得るはずだった利益を、不動産の相続人が代償金として支払うことで、相続人間の不均等さを調整します。
事例において、Yが甲土地を単独相続する場合を考えてみましょう。この場合、具体的な相続分は以下の通りになります。

  • Y現金1500万円+甲土地(時価6000万円)
  • A現金750万円
  • B現金750万円

しかし、このままでは、1の場合と比べてABがそれぞれ1500万円損をすることになります。そこで、札幌市中央区の甲土地を単独で得たYが、個人の財産からABに1500万円ずつ代償金として支払うことで、この不平等さを解消するのです。
したがって、最終的に得られる財産は以下のようになります。

  • Y現金1500万円+甲土地(-代償金3000万円)
  • A現金750万円+代償金1500万円
  • B現金750万円+代償金1500万円

代償分割は、土地の分割を経ずになるべく平等な相続を実現できるというメリットがあります。一方で、代償金を支払うだけの十分な資力を有する相続人がいない場合にはうまく働かない手段でもあります。


■3、換価分割

換価分割は、不動産を売却して現金に換価し、それを相続分に応じて分割してしまう方法です。
事例では甲土地は時価6000万円ですので、これを売却すると相続財産は現金9000万円となります。そのうえでの具体的な相続分は以下のようになります。

  • Y現金4500万円
  • A現金2250万円
  • B現金2250万円

このように相続財産が現金だけになるため、分割が簡単になります。ただし、不動産を利用したかった相続人にとっては望ましい結果ではありません。また、売却時の手数料など余計にお金がかかる手段でもあります。

換価分割についてより詳しく知りたい方は「相続不動産を売却して売却代金を分割する」をご覧ください。


■4、共有分割

最後に共有分割の説明です。これは不動産を相続分に応じて個別の不動産に分割してしまう1とは異なり、元の不動産を相続分に応じた持分で共有する分割方法です。
事例では、以下のような相続結果になります。

  • Y現金1500万円+甲土地持分1/2
  • A現金750万円+甲土地持分1/4
  • B現金750万円+甲土地持分1/4

この方法によれば、手数料をかけて売却する手間もなく、また相続分に応じて不動産を分割する必要がありません。
しかしながら、共有という特殊な関係になるため、甲土地の売却などが一人ではできなくなります。また、共有関係から抜ける相続人が現れた場合には価格賠償の必要も生じてきます。


最後に

今回みてきたように、不動産の分割方法には、それぞれメリットとデメリットが存在します。したがって、当該不動産を手元に残したいか否か、分割の可否、代償金を支払う資力の有無などを相続人で十分に検討したうえで、どの手段によるべきかを決定する必要があるでしょう。


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