短期居住権は消える
札幌で相続の相談を受けていると、配偶者相続人から「相続後、少しでもいいので家に住みたい」というお話を聞くことがあります。このような方のために、「配偶者短期居住権」が創設されましたが、「配偶者短期居住権」は、一定の事由があれば消滅します。そもそも「短期」とあることからもわかるように、当該権利は永久の権利などではなく、期間が経過する場面や、一定の事由がある場面では権利は消えることになるのです。
ここでは、配偶者短期居住権の消滅事由について解説します。
配偶者短期居住権はどのような事由で消滅するの?
配偶者が、下記1及び2に違反した場面では、他の相続人は、配偶者短期居住権の消滅を主張することができます。※1 配偶者は、従前の方法に従って、善管注意義務によって居住建物を使用しなければいけない
※2 配偶者は、他のすべての相続人の承諾がないのであれば、第三者に居住建物を使用させることはできない
たとえば札幌市在住の配偶者相続人甲が見ず知らずの第三者乙を家に住まわせていたような場合は、他の相続人丙は、配偶者短期居住権の消滅の意思表示をし、札幌市のその家から第三者と配偶者相続人を追い出すことができるというわけです。
また、配偶者短期居住権は、6ヵ月の期間が経過していなくても、配偶者が死亡したときは、消滅します(つまり配偶者短期居住権は相続の対象になりません)。
同様に、配偶者が配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は消滅することになります。これは、配偶者がより強固な権利を取得することで、配偶者短期居住権の必要性がなくなるためです。
配偶者短期居住権が消滅したら……
配偶者短期居住権が消滅した場合は、建物を使用していた配偶者は、居住建物を返還しなければいけません。もちろん、配偶者が配偶者居住権を取得した場合や、配偶者が居住建物について共有持分権を有していたような場面は別ですが、そのような場面以外は建物を返還し、建物から出ていかなければいけないのです。
居住建物を返還するときの注意点
居住建物を返還する場合は、以下の点に注意が必要です。- 1. 配偶者は、相続開始後に居住建物に生じた損傷を原状に復する義務を負います(ただし、損傷が配偶者の責めに帰することができない事由によるものであるときはこの限りでない)
- 2. 配偶者は、建物を返還するときは、相続開始の後に居住建物に附属させた物を収去する義務を負います(ただし当該附属物が、建物から分離できないような場面においては、この限りではない)。
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配偶者短期居住権については、下記の記事も参考になります。配偶者短期居住権とは~遺産分割パターン~
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