遺骨は相続の対象?
札幌・札幌近郊を中心として相続放棄の手続きを数多くサポートしております。札幌で相続放棄の手続きにお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
被相続人が死亡し、火葬された場合、遺骨が残ります。遺骨は通常、被相続人の家族によってその家系の墓地に埋葬されると思われます。
では、遺骨をめぐって争いが生じた場合、被相続人の遺骨は誰が保有すべきなのでしょうか。遺骨はそもそも相続財産として、「相続」の対象となるのでしょうか。遺骨の相続性について解説しましょう。
※札幌で相続放棄のご相談を多く受けていますが、「相続放棄をしたら遺骨は受け取れないのですか?」と聞かれることがあります。遺骨が相続財産であれば、相続放棄をしたら遺骨は受け取ることはできませんが、相続財産でなければ、受け取ることができることになります。
遺骨は相続の対象となるか
相続が発生すると、民法898条により相続人は相続開始の時から被相続人が有する財産の権利義務の一切を承継します。では、遺骨はどうでしょう。遺骨は被相続人の死後に生じるものなので(ここでは便宜上「もの」と表記します)、被相続人が生前から所有していたものではありません。
このことから、遺骨は被相続人が所有していたものとはいえず、相続の対象となる所有権に、遺骨は含まれないといえます。したがって、遺骨は相続の対象とはならないと考えられるでしょう(あくまでそのように「考えることができる」という話です)。
では、被相続人の遺骨は誰が保有するべきか。
これにつき、被相続人の祭祀の主宰者(死者を祀るための墓地、仏具、位牌等の所有者)が遺骨を保有すべきという考え方と、喪主(被相続人と縁が深い者)が保有すべきという考え方がありえます。祭祀の主宰者であれば、被相続人の家系を継ぐ相続人、喪主であれば相続人であるか否かにかかわらず、被相続人と特別な縁を有していた者が遺骨を保有することになります。
裁判所の見解~慣習に従って祭祀を主催すべき者に帰属する~
これについて裁判所は、以下のような判断を示しています。本件遺骨は慣習に従って祭祀を主催すべき者・・・に帰属したものと解される(最3判平成元年7月18日家月41巻10号128頁)
この裁判の事実概要は下記の通りです。
Xはある夫婦と養子縁組をしたが、職場の勤務地との関係でXの妻とともに養親とは別居し、養親は何ら血縁関係のないYが養親と同居し、身辺の世話等をしていた。養親の死亡後、Yは養親の遺骨を保有・保管をしていたが、養親の家系の墓を建て直したXがYに対して養親の遺骨の引渡し請求を行った。
というものです。
養親の家系は養子であるXが継ぐのが通常であると考えられるため、養親の祭祀を主宰すべき者はXにあたります。このことから、慣習上養親の遺骨はXに帰属するものと裁判所は判断したものと思われます。
※この帰属とは、埋葬を行うのために誰が遺骨を保有すべきかという意味であると考えられます。
このような事例でYに相当する者に遺骨が帰属することはあるか
上記のように、裁判所は「慣習」に重きを置いて判断を行っているようです。そうであるとすれば、地域や家系よって、血縁上あるいは法律上の親子関係よりも被相続人と縁が深い者が遺骨を保有しているという慣習がある場合、結論が変わってくると思われます。このように、上記の裁判は慣習という地域や家計の特殊性が強いものであると考えられます。そうであるとすれば、上記裁判所の判断は、事案における判断であり、一般化はできないと考えられます。
札幌で相続手続の無料相談を受付中
札幌で相続手続(相続登記、不動産名義変更、相続放棄、預貯金や株式等の承継手続、遺産調査など)の無料相談を受付中です。平日夜間・土日の相談にも対応しております。まずはお電話(011-213-0330)かお問合せフォームからお問い合わせください。※相談は面談形式で対応しております。お電話・メールでのご相談には対応しておりません。
※相続放棄については、「札幌で相続放棄サポート」をご覧ください。