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再転相続人がする相続放棄の仕方

相続が連続したら「相続放棄」に要注意


札幌・札幌近郊を中心として相続放棄のご相談・ご依頼を多数いただいております。このようなことから、相続放棄の手続について難しいことを聞かれることもございます。

たとえば札幌のAが死亡し、Aの子である相続人Bが、相続放棄の熟慮期間中に死亡してしまった場合に、Bの子Cが相続人になる場合があります。Cから見て、札幌のAは祖父にあたるわけで、「祖父→父」の順番で連続に死亡したということです。

このとき、CはBの相続に関して相続し、Aの相続に関しては相続放棄することはできるのでしょうか。あるいはCはBの相続に関して相続放棄し、Aの相続に関しては相続することはできるのでしょうか

これは「再転相続人の相続放棄」の問題ですが、相続放棄案件が少なくない札幌市でも、このような問題についてのご質問を受けることがあります。


再転相続人とは

そもそも再転相続とは、被相続人(A)が死亡した後、その相続人(B)がその熟慮期間内に放棄も承認もしないまま死亡してしまったため、その相続人の相続人(再転相続人C)が、自分自身の相続権と、相続人(B)の承認又は放棄をする権利を引き継ぐことをいいます。

上記でも説明しましたが、具体例でいうと、祖父が死亡し、父が祖父の相続の手続きをしている最中(つまり熟慮期間中)に、その父も亡くなってしまったというものです。


再転相続人は都合よく相続することはできない?

再転相続人は、どちらの相続権も自らに都合よく自由に処分できるかというと、そうではありません。

再転相続した権利は、本来は相続人(B)の権利であったものなので、もし再転相続人(C)が、相続人(B)の相続を放棄したなら、再転相続人(C)は初めから相続人の相続人ではなく、再転相続することになる権利も受け継ぐことはないのです。


再転相続人の相続の仕方~パターン別~

再転相続人による、相続権の処分方法の組み合わせとして、以下4つのパターンがあります。

  • 1、自分自身の相続権を承認、再転相続権を承認
    → 父の相続も祖父の相続も受け入れる
  • 2、自分自身の相続権を放棄、再転相続権を承認<不可>
    → 父の相続は放棄し、祖父の相続を受け入れる
  • 3、自分自身の相続権を承認、再転相続権を放棄
    → 父の相続を受け入れ、祖父の相続放棄をする
  • 4、自分自身の相続権を放棄、再転相続権を放棄
    → 父の相続を放棄し、祖父の相続も放棄する

先に述べたように、2番のケースは、自分自身の相続権を放棄した時点で、再転相続をする権利はなくなるので、このケースを選択することはできません。

4番のケースでは、自分自身の相続を放棄する手続きをすれば、被相続人の相続も放棄したこととなるため、再転相続権について特別な意思表示はする必要はありません。札幌で相続放棄のお手伝いをしたい際にも、この4のケースにあるように、父の相続を放棄し、結果として祖父の相続も放棄したケースがありました。

1番と3番ケースでは、それぞれの相続権について意思表示をする必要があります。


再転相続と代襲相続の違い

再転相続と似た場面における制度で、「代襲相続」があります。

再転相続と代襲相続の違いは、「死亡した順番」です。

代襲相続とは、相続人となるべき者が、被相続人よりも先に死亡または欠格に該当、もしくは廃除され、その後被相続人の相続が発生した場合に相続人の子が相続すること(代襲相続)をいいます。

これに対して再転相続は、簡単にいうと「上から順番に死亡していく」のです。

再転相続と代襲相続とでは、代襲相続では相続の個数は一つ、再転相続では二つであるという点で大きく異なりますので注意してください。


再転相続の熟慮期間

再転相続についての熟慮期間は以下の条文に記載されています。

民法第916条
相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

条文中の前条第一項の期間とは、熟慮期間のことをいいます。 なお、相続放棄の熟慮期間については以下の記事を参考にしてください。

相続放棄の熟慮期間の起算点~基本~


ところで、この「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」という文言の解釈がたびたび問題となりましたが、令和元年8月9日に、最高裁より見解が示されました。詳しくは「再転相続における相続放棄の熟慮期間の起算点~最判令元.8.9~」をご覧ください。

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