札幌で相続手続をサポートしています。不動産、預貯金、株式や投資信託等の金融資産等の遺産承継手続、相続放棄、遺産調査などは、札幌市中央区の当事務所にお任せください。札幌・札幌近郊で相続手続にお困りの方の力になります。なお、本記事では遺留分について解説していますが、当事務所で取り扱っているのは「相続手続」ですので、遺留分の個別相談には応じていません。
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
札幌で相続の相談を受けていると、遺留分について気にされている方がいらっしゃいます。特に地元札幌で商売を営んでいる中小企業の経営者などにこの傾向は強いといえます。遺留分について、基礎から知りたいという方は「知っておきたい「遺留分」の基礎」をご覧ください。
民法上、遺留分は一定の相続人の相続財産を確保するために被相続人によっても不可侵なものとなっています。しかしながら、中小企業の経営者が後継者に自社株式や事業用資産を承継したい場合にも、遺留分権者から遺留分減殺請求権を自由に行使されると、これらの経営に必要な財産が分散し、後継者の企業経営に支障を来たすおそれがあります。
そこで、こうした中小企業の経営に関する相続については特別法により、民法に一定の修正がされているのです。
下記で、そんな遺留分について民法規定の例外となる特別法について解説します。
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」とは
民法上の規定を利用するならば、後継者以外の相続人に遺留分の事前放棄をしてもらうことが考えられます。しかし、これには裁判所が関与した手続きが必要となるうえ、放棄が認められる確証もありません。遺留分の放棄については、詳しくは「遺留分は放棄できる」「相続開始前の遺留分放棄の三要件」をご覧ください。
そこで、民法の遺留分規定に制限を加える特別法が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下では単に「法」と示します。) です。
法の特例を利用するための要件
この法3条から10条によると、経営者の一定の財産について遺留分を算定するときの取り扱いにつき、制限を加えることが可能と規定されています。その要件は次の通りです。
「1」特例中小企業者の「2」旧代表者が、「3」後継者に自己の保有する自社株式や持分を承継させ、これについて「4」推定相続人との合意が成立し、「5」経済産業大臣の確認と「6」家庭裁判所の許可を受けること。
以下では「1」~「6」について説明します。
■「1」特例中小企業者
合意時点において、三年以上継続して事業を行っている非上場企業のうち、法2条に該当する企業。ただし個人事業主は除きます。
■「2」旧代表者
特例中小企業者の代表者であった者、又は現代表者であり、当該企業の株式や持分を他の者に贈与した者
■「3」後継者
ここでの後継者には、3つの要件が必要となります
- (1)旧代表者から株式等を贈与や相続により承継した者
- (2)当該企業の総株主又は総社員の議決権の過半数を有する者
- (3)当該企業の代表者
この後継者については、推定相続人以外の者もなりえることに注意が必要です。
■「4」推定相続人との合意
遺留分の特例規定を利用する場合の合意には二種類あります。
- (1)除外合意
当該株式等を、遺留分を算定する基礎財産から除く合意です。これにより遺留分権者はこれらの株式等について遺留分減殺請求権を行使することはできなくなります。
- (2)固定合意
こちらは、遺留分算定の基礎財産に当該株式等を含める代わりに、その評価額については合意時点の時価で固定するという合意です。これにより、合意時よりも株価が上昇したような場合にも、想定以上の額の遺留分を主張されることは防ぐことができます。
なお、これらの合意は推定相続人全員と後継者の間で、書面によりなされなくてはいけません。
■「5」経済産業大臣の確認
後継者は、「4」から1か月以内に、経済産業大臣に対して本特例の確認申請をしなければいけません。
■「6」家庭裁判所の許可
「5」を受けた日から1か月以内に、後継者は家庭裁判所に特例の許可を申し立ててその許可を受ける必要があります。この許可により、はじめて合意が効力を有することとなるのです。
札幌で相続手続のお問合せ・相談を受付中
当事務所は、札幌・札幌近郊を中心として相続手続(相続登記、相続放棄、遺産調査、預貯金の相続手続等)の無料相談を受付中です。平日夜間・土日の相談にも対応しております。まずはお電話(011-213-0330)かお問合せフォームからお問い合わせください。
※相談は面談形式で対応しております。お電話・メールでのご相談には対応しておりません。
※相談対応事項はサービスメニューにあるものに限ります。
当該株式等を、遺留分を算定する基礎財産から除く合意です。これにより遺留分権者はこれらの株式等について遺留分減殺請求権を行使することはできなくなります。
こちらは、遺留分算定の基礎財産に当該株式等を含める代わりに、その評価額については合意時点の時価で固定するという合意です。これにより、合意時よりも株価が上昇したような場合にも、想定以上の額の遺留分を主張されることは防ぐことができます。