旧樺太に本籍地がある場合の取扱
札幌で司法書士をしていると、相続登記のお仕事で、被相続人の昔の戸籍が「旧樺太」にある場面に出くわします。
「本籍地が樺太、戸籍は?」で詳しく述べたように、旧樺太時代の戸籍の多くはどこの役所にも保管されておらず、6つの村の戸籍が外務省で保管されているにすぎません。
では、被相続人の本籍地が旧樺太にある場合、相続登記はどのように進めたらよいのでしょうか。札幌の相続専門の司法書士として、解説していきます。
戸籍が外務省で保管されていたら
被相続人の本籍地が旧樺太であり、なおかつ上記の6つの村に該当する場合は、外務省にて戸籍情報の開示を請求してください。外務省で担当しているのは、「アジア大洋州局地域政策課 外地整理班」です。詳しくは「本籍地が樺太、戸籍は?」をご覧ください。
外務省で戸籍の内容が確認できたら、その内容から相続人を確定し、通常の要領で相続登記を申請しましょう。
外務省で戸籍が保管されていなければ
外務省で旧樺太戸籍が保管されていない場合は厄介だと感じられます。通常であれば、戸籍が戦争などの事由により滅失している場合、市町村役場にて「ないことの証明書」を発行してもらい、その証明書を添付して相続登記を進めていきます。
なお、法務省の通達(平成28年3月11日法務省民二第219号)により、この場合に「他に相続人がいない旨の上申書」が不要になりました。
参考:「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書を提供することが困難な事案が増加していることなどに鑑み,本日以降は,戸籍及び残存する除籍等の等本に加え,除籍等(明治5年式戸籍(壬申戸籍)を除く。)の滅失等により「除籍等の等本を交付することができない」旨の市町村長の証明書が提供されていれば,相続登記をして差し支えない
平成28年3月11日法務省民二第219号の取扱ではない
被相続人の本籍地が旧樺太の場合で、戸籍の発行を受けられない場合は、「平成28年3月11日法務省民二第219号」の取扱になるのかというと、そうではありません。「平成28年3月11日法務省民二第219号」の取扱いを受けるためには、「除籍等の等本を交付することができない」旨の市町村長の証明書が必要です。
旧樺太戸籍がない場合に、外務省では「除籍等の等本を交付することができない」旨の証明書は発行しません。
たしかに旧樺太戸籍がない場合に、外務省に戸籍情報の開示を請求した場合は、「該当戸籍なし」という通知を外務省が行いますが、これは「証明書」ではありません(その証拠に、外務省の印鑑は押してくれません)。
法務局との個別調整
被相続人の本籍地が樺太にあり、相続登記に必要な戸籍の発行が受けられない場合は、管轄の法務局との個別調整が必要になります。調整といえば書面で「照会書」を提出し、司法書士としての見解を述べた上で、法務局サイドの見解を伺うことが一般的です。
しかしながら、当事務所がある北海道札幌市内の法務局のように、旧樺太時代の戸籍の取扱いに慣れている法務局であれば、電話で事情を話せば、それで事前調整として登記を進めることが可能です。
実際の相続登記手続
結局のところ、札幌市内の法務局であれば、ほとんどが下記のような取扱いになるものと思います(あくまで一例ですので、旧樺太時代の戸籍が問題となる場合は、申請前に管轄法務局に取扱いを確認してください)。- 旧樺太時代の戸籍がない場合は、本籍地が6つの村ではないため、戸籍の発行を受けられないと法務局に相談
- 「他に相続人がいない旨の上申書」なしで、相続登記を進めていただく旨の回答をいただく。その際、外務省の「該当戸籍なし」の通知書は不要(単なる通知書であり、証明書ではないため)という回答もあわせていただく。
本籍地が樺太なら、専門家にお任せください
被相続人の本籍地が樺太である場合、相続登記手続きは簡単ではありません。この場合の相続手続は、専門家による関与によって進めることをおすすめします。
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※相続登記については、「札幌で相続登記サポート」をご覧ください。