すべての財産が課税されるわけではない
相続が発生した場合、「相続税の納付」を気にされる方が多々いらっしゃいます。札幌で相続相談を受けていても、相談者の方がよく気にされているのが「相続税」なのです。
しかしながら、相続税は誰でも課税されるわけではないし、課税されるにしても、「非課税財産」があります。
ここでは、「相続税課税の要件」と「相続税非課税財産」について解説しましょう。
相続税が課税される要件
相続税は、祖父母・父母・親族等が亡くなり、相続を受けた際に発生するものです。これは、相続を受けた財産は「相続者が偶然得た不労所得」であり、「富の集中を防ぐため」に納税を課せられます。なお、基礎控除によってある程度相続税がかからない場合がありますが、それを超えると納税しなくてはいけません。
以下が基礎控除の計算方法です。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この計算によって算出された基礎控除以上に相続があった場合に、相続税を納めなくてはいけません。相続税の納め方については、「相続税の納め方」をご確認ください。
では、全ての財産に納税義務が発生するのでしょうか。
単刀直入にいうと、全ての財産に納税義務が発生するわけではありません。相続税が課税される財産と、「相続税非課税財産」があるのです。
相続税の課税対象財産とは
一般的に、以下のものを相続し、基礎控除額を超えた場合に相続税がかかります。- 現金、預貯金、債券、有価証券、その他金銭的価値を有するもの
- 生命保険金、生命保険契約に関する権利
- 死亡退職金
- 動産、不動産
- ゴルフ会員権
- 特許権
- 暦年課税により贈与を受けた財産の開始が3年以内だった場合、その全て
- 相続時精算課税により贈与を受けた財産全て
相続税非課税対象の財産とは
相続される財産の相続税のかからない財産ももちろんあります。以下が非課税対象の財産です。
(国税庁ホームページ No.4108相続税がかからない財産より引用 平成30年2月27日現在)
- 1、墓地や墓石、仏壇、仏具、髪を祭る道具など日常礼拝をしている物(ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。)
- 2、宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
- 3、地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
- 4、相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
- 5、相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
- 6、個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの(なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります)
- 7、相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの
相続税が非課税になるための要件
相続税が非課税になるのは、主に換金性がなく、生前に支払いが済んでいるものに限られます。死後に購入した場合には、相続税の軽減を目的として購入したとみられてしまうのです。生前に購入されていても、ローンが残っている場合には、未払い分は非課税対象にはなりません。
また、葬儀費用も非課税対象ですので、葬儀にかかった費用を相続財産から支払うことができます。
続税には基礎控除額の他に相続税非課税財産があることを留意しておくと良いでしょう。