札幌で相続税、相続登記、預貯金や株式等の承継手続き、遺産調査、遺産分割協議書作成など、各種相続手続きは札幌相続相談所にお任せください。司法書士と税理士のダブルライセンスで、あなたの相続手続をフルサポートいたします。
被相続人がアパート等の経営をしており、自身の土地を貸していた場合、「小規模宅地の特例」によって、相続人はその土地の評価額について大きな減額を取ることが可能です。
要件は次のとおりです。
当該土地が、相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業)の用に供されていた宅地であること
※相続開始前3年以内に新たに貸付事業のように供されていた宅地は除かれます。
当該土地における貸付事業を、相続税の申告期限までに引継いで、かつその申告期限までその貸付事業を続けること(事業承継要件)
当該土地を相続税の申告期限まで保有すること(保有継続要件)
小規模宅地の特例を適用することで、当該土地の評価額が200平米を上限として50%引きになります。3000万円の評価額だった土地の評価額が1500万円になるのですから、非常に大きな評価減と言えます。
上記の事例では、Aさんの相続にかかる相続税の申告(一次相続の申告)を行うだけでなく、Bさんを被相続人とする相続税の申告(二次相続の申告)も行わなければなりません。一次相続の相続税申告は、本来はBが行うべきところ、Bの相続人CがBに代わって申告します。二次相続の相続税申告は、通常の案件と同じようにCが申告します。
しかし本事例ではAさんが死亡した後にBさんも連続して死亡しています。しかもBさんの死亡の日は、一次相続の申告期限が到来するよりも前です。何が言いたいかというと、Bさんは「その土地を相続税の申告期限まで保有すること」という要件を物理的に満たすことができません。
このような状況においては、一次相続の相続税申告において、小規模宅地の特例を適用できないのではないか、という疑問が生じることでしょう。しかし考えてみると、Bが死亡したのが一次相続の申告期限到来よりも前であれば小規模宅地の特例を適用できず、一次相続の申告期限よりも後であれば(たとえば申告期限の翌日に死亡した場合でも)小規模宅地の特例を適用できるとすることは、課税の公平上望ましくないと考えられます。
租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)69の4-15
上記通達69の4-15により、一次相続の相続税申告においてAが所有していた札幌市南区の賃貸アパートの敷地について小規模宅地の特例を適用できるかどうかは、Cがその要件を満たしているかどうかによって判断されます。つまりCについて次の2つの要件が満たされていたら、一次相続の相続税申告において小規模宅地の特例を適用できるのです。
当該土地における貸付事業を、相続税の申告期限までに引継いで、かつその申告期限までその貸付事業を続けること(事業承継要件)
当該土地を相続税の申告期限まで保有すること(継続保有要件)
ところで「申告期限」は相続税法27条2項によって判断されます。ここでは深入りしませんが、一次相続の申告期限は、Cが「一次相続においても、自分自身が相続税申告をしなければならない」と気付いたときからカウントされます。つまりはCがBの死亡を知ったのがBの死亡日であれば、Bの死亡日から起算して10か月以内に一次相続の相続税申告をすることになるのです。Aの死亡日からカウントするのでもなければ、CがAの死亡をしったときからカウントするのでもないという点はご注意ください。
相続税の専門家として一歩踏み込みたいのは、本当に「小規模宅地の特例を適用するべきか」という点です。
連続して発生した相続ではない通常の相続の場面であれば、小規模宅地の特例を適用するのは当然だといえます。小規模宅地の特例を適用することで土地の評価額が大きく引き下がり、納税額も大きく下げることができます。
しかし短期間のうちに連続して発生した相続であれば、小規模宅地の特例を適用しない方が納税額を下げることができる場合があります。 土地以外の財産がどの程度あるか、一次相続と二次相続の間がどのくらい空いているか、相続人が何人いるかによって異なりますが、小規模宅地の特例を適用しないで申告をすることで、一次相続・二次相続を通じてみたときのトータル相続税額が、小規模宅地の特例を適用しない方が低くなることもあるのです。
ポイントになるのは、「相次相続控除」と「二次相続の債務として一次相続の相続税額を控除できる」という点です。仮に一次相続の方が相続人の人数が多く、一次相続と二次相続の間隔がほとんどあいていないケースにおいては、小規模宅地の特例を適用しない方が、トータルの納税額が下がることがあります。この検討は、シミュレーションを行って詳細に検証する必要があります。このような検証が、まさに相続税専門の税理士としての腕の見せ所です。
目次
小規模宅地の特例~貸付事業用宅地等~
相続税の相談に対応していると、よく聞くのは「被相続人が不動産(土地)を第三者に貸していた」というケースです。相続税の申告対象になる方は皆さんいわゆる富裕層であり、アパートを建てて家賃収入を得ているというのは珍しくありません。被相続人がアパート等の経営をしており、自身の土地を貸していた場合、「小規模宅地の特例」によって、相続人はその土地の評価額について大きな減額を取ることが可能です。
要件は次のとおりです。
※相続開始前3年以内に新たに貸付事業のように供されていた宅地は除かれます。
小規模宅地の特例を適用することで、当該土地の評価額が200平米を上限として50%引きになります。3000万円の評価額だった土地の評価額が1500万円になるのですから、非常に大きな評価減と言えます。
貸付事業用の宅地を取得した相続人が続いて死亡した事例
貸付事業用宅地をめぐる小規模宅地の特例が問題となった事案で、札幌相続相談所にご依頼があったケースは「連続して相続が起こった」というケースでした。そのケースで論点となったのが上記で紹介した要件のなかの「保有継続要件(小規模宅地の特例を適用する土地を相続税の申告期限まで保有すること)」という点でした。継続保有要件が論点となった事案
札幌市南区のAさんが令和8年1月15日に死亡しました。Aさんは資産家であり、20年ほど前から札幌市内に賃貸アパートを所有していました。
Aさんの相続人はAの子のBひとりです。BさんはAさんの賃貸事業を引き継ぎ、賃貸アパートの経営を続けました。そんなBさんでしたが、なんとAさんが死亡して2か月が経過した令和8年3月15日に急死してしまいました。
Bさんの相続人はBさんの子であり、Aさんの孫にあたるCさんのみです。CさんもAさんとBさんの意思を継いで、賃貸アパートの経営を継続するつもりです。
Aさんの相続人はAの子のBひとりです。BさんはAさんの賃貸事業を引き継ぎ、賃貸アパートの経営を続けました。そんなBさんでしたが、なんとAさんが死亡して2か月が経過した令和8年3月15日に急死してしまいました。
Bさんの相続人はBさんの子であり、Aさんの孫にあたるCさんのみです。CさんもAさんとBさんの意思を継いで、賃貸アパートの経営を継続するつもりです。
上記の事例では、Aさんの相続にかかる相続税の申告(一次相続の申告)を行うだけでなく、Bさんを被相続人とする相続税の申告(二次相続の申告)も行わなければなりません。一次相続の相続税申告は、本来はBが行うべきところ、Bの相続人CがBに代わって申告します。二次相続の相続税申告は、通常の案件と同じようにCが申告します。
保有継続要件を満たすかどうか
一次相続においても二次相続においても、小規模宅地の特例を適用できるかどうかが論点となります。Aさんが所有していたのは賃貸アパートであり、貸付事業を行ってから20年程度経過していることから、Bさんが死亡せずにそのまま一次相続の申告期限を迎えるような状況であれば、当然小規模宅地の特例を適用して申告することで、納税額を引き下げることができます。しかし本事例ではAさんが死亡した後にBさんも連続して死亡しています。しかもBさんの死亡の日は、一次相続の申告期限が到来するよりも前です。何が言いたいかというと、Bさんは「その土地を相続税の申告期限まで保有すること」という要件を物理的に満たすことができません。
このような状況においては、一次相続の相続税申告において、小規模宅地の特例を適用できないのではないか、という疑問が生じることでしょう。しかし考えてみると、Bが死亡したのが一次相続の申告期限到来よりも前であれば小規模宅地の特例を適用できず、一次相続の申告期限よりも後であれば(たとえば申告期限の翌日に死亡した場合でも)小規模宅地の特例を適用できるとすることは、課税の公平上望ましくないと考えられます。
租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)69の4-15
被相続人の事業用宅地等を相続又は遺贈により取得した被相続人の親族が当該相続に係る相続税の申告期限までに死亡した場合には、当該親族から相続又は遺贈により当該宅地等を取得した当該親族の相続人が、措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件を満たせば、当該宅地等は同項第1号に規定する特定事業用宅地等又は同項第4号に規定する貸付事業用宅地等に当たるのであるから留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)
(注) 当該相続人について措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件に該当するかどうかを判定する場合において、同項第1号又は第4号の申告期限は、相続税法第27条第2項((相続税の申告書))の規定による申告期限をいい、また、被相続人の事業(措置令第40条の2第1項に規定する事業を含む。以下69の4-15において同じ。)を引き継ぐとは、当該相続人が被相続人の事業を直接引き継ぐ場合も含まれるのであるから留意する。
上記通達69の4-15により、一次相続の相続税申告においてAが所有していた札幌市南区の賃貸アパートの敷地について小規模宅地の特例を適用できるかどうかは、Cがその要件を満たしているかどうかによって判断されます。つまりCについて次の2つの要件が満たされていたら、一次相続の相続税申告において小規模宅地の特例を適用できるのです。
ところで「申告期限」は相続税法27条2項によって判断されます。ここでは深入りしませんが、一次相続の申告期限は、Cが「一次相続においても、自分自身が相続税申告をしなければならない」と気付いたときからカウントされます。つまりはCがBの死亡を知ったのがBの死亡日であれば、Bの死亡日から起算して10か月以内に一次相続の相続税申告をすることになるのです。Aの死亡日からカウントするのでもなければ、CがAの死亡をしったときからカウントするのでもないという点はご注意ください。
小規模宅地の特例を本当に適用するべきか
ところで一次相続の申告期限が到来する前に一次相続の相続人が死亡した場合において、貸付事業用宅地等として小規模宅地の特例を適用できるかどうかは上記のとおりです。相続税の専門家として一歩踏み込みたいのは、本当に「小規模宅地の特例を適用するべきか」という点です。
連続して発生した相続ではない通常の相続の場面であれば、小規模宅地の特例を適用するのは当然だといえます。小規模宅地の特例を適用することで土地の評価額が大きく引き下がり、納税額も大きく下げることができます。
しかし短期間のうちに連続して発生した相続であれば、小規模宅地の特例を適用しない方が納税額を下げることができる場合があります。 土地以外の財産がどの程度あるか、一次相続と二次相続の間がどのくらい空いているか、相続人が何人いるかによって異なりますが、小規模宅地の特例を適用しないで申告をすることで、一次相続・二次相続を通じてみたときのトータル相続税額が、小規模宅地の特例を適用しない方が低くなることもあるのです。
ポイントになるのは、「相次相続控除」と「二次相続の債務として一次相続の相続税額を控除できる」という点です。仮に一次相続の方が相続人の人数が多く、一次相続と二次相続の間隔がほとんどあいていないケースにおいては、小規模宅地の特例を適用しない方が、トータルの納税額が下がることがあります。この検討は、シミュレーションを行って詳細に検証する必要があります。このような検証が、まさに相続税専門の税理士としての腕の見せ所です。


















