札幌相続相談所では、開業以来、数多くの相続手続をお手伝いしてきました。その相続手続のなかで、毎回「遺産(相続財産)目録」を作成します。
遺産目録は、相続財産として何があり、どの程度の資産価値なのかを示すものです。ここで、遺産目録の作成の仕方について、札幌の相続専門家が解説します。ご自身で相続手続を進めようとお考えの方も、どうぞ参考にしてください。
遺産が一覧になることで、遺産を把握しやすい
遺産分割の際の参考になる
以上の理由から、遺産目録を作成します。相続手続を専門家に依頼せずにご自身で進める場合も、やはり遺産目録は作成するに越したことはないでしょう。
作成の際のコツは、遺産を把握しやすいように作成すること、そして遺産分割の際に参考になるように作成すること、この二点です。
続いては、具体的にどのように記載するべきなのかについて解説します。
不動産を特定できる情報としては、「登記事項証明書」に記載があります。たとえば土地であれば「所在、地番、地目及び地積」であり、建物であれば「所在、家屋番号、種類、構造、床面積」です。これらの情報を、登記事項証明書から抜き出し、書き出せばよいのです。
ところで土地を特定するための情報として「住所」を記載する方がいますが、正直あまりおすすめできません。たとえば「札幌市北区〇〇町1丁目1番1号の土地」と記載する方がいるのです。これで特定できたと思っている方もいますが、その後の不動産名義変更手続(相続登記)は、すべて登記事項証明書の記載に基づいて行いますので、遺産目録を作成する段階から、登記事項証明書に従って不動産を特定した方がよいのです。
また、遺産の目録には、不動産の価値を示す情報も盛り込むべきでしょう。
不動産の価値といえば、「売ったときの金額(つまり時価)」であると考える方もいますが、そもそも時価はあまりきちんと把握することができません。なぜかというと、売れた額が時価ですから、売っていない現状では、いくらで売れるか分からないためです。
したがって不動産の価値を示す情報として、客観的な情報を記載すれば済むと考えればよいでしょう。札幌相続相談所が作成する遺産の目録には、固定資産評価証明書の額を記載するようにしています。なお、固定資産評価証明書は札幌の場合は市税事務所で取得できます。固定資産評価証明書は郵送でも取得でき、詳しくは「札幌市 固定資産評価証明書の郵送取得の方法」を参考にしてください。
たとえば、次のように記載するのです。
預金を特定できる情報としては、銀行等の金融機関名、支店名、口座種類、口座名義人及び口座番号を記載します。残額は、相続開始時の残額と、場合によっては払い出せた額を記載するとよいでしょう(相続開始後に葬儀費用などで引き出しがあった場合は、払い出せた額をベースに遺産分割を行うのが通常だからです)。
たとえば、次のように記載します。
なお、被相続人名義の口座でなくても、被相続人の遺産である場合があります。これを、名義預金(借名預金)といいます。たとえば親が子どもの名義で勝手に口座を開設し、そこに親のお金を入れておく場合が名義預金に当たります。
名義預金・借名預金に該当する口座があれば、これも遺産の目録に記載するとよいでしょう。
それらの金融資産は、証券会社等の会社ごとに、金融資産を特定するための情報と価値を示す情報を記載するとよいでしょう。特定のための情報は、「証券会社名、支店名、口座番号、銘柄名、保有数」が重要です。価値を示す情報としては、相続開始時の評価額を記載するとよいでしょう。
なお、遺産の目録を参考にしながら遺産分割を行う際は、遺産分割協議の日の前日の評価額を記載する人もいます。時価が変動する金融資産については、協議時点の評価額が重要だからです。
相続債務などのマイナスの財産については、「債権者名、債務の内容、額」を記載すればよいといえます。たとえば、次のように記載するのです。
遺産目録は、相続財産として何があり、どの程度の資産価値なのかを示すものです。ここで、遺産目録の作成の仕方について、札幌の相続専門家が解説します。ご自身で相続手続を進めようとお考えの方も、どうぞ参考にしてください。
定まった形式はない
遺産目録(相続財産目録)の作成の仕方として、定まった形式はありません。遺産目録はどこに提出するというものでもありませんので、適宜の目録を作成すればよいのです。遺産目録を作成する理由
遺産目録は、どこかに提出しなければならないものではありませんが、札幌相続相談所で相続手続の代行をする場合は、ほぼ毎回おつくりしています。なぜ作成するかというと、遺産目録として相続財産をまとめておくと、次のような効用があるためです。以上の理由から、遺産目録を作成します。相続手続を専門家に依頼せずにご自身で進める場合も、やはり遺産目録は作成するに越したことはないでしょう。
作成の際のコツは、遺産を把握しやすいように作成すること、そして遺産分割の際に参考になるように作成すること、この二点です。
続いては、具体的にどのように記載するべきなのかについて解説します。
不動産について
遺産目録に不動産を記載する場合は、不動産を特定できる情報と、不動産の価値を示す情報を盛り込むとよいでしょう。不動産を特定できる情報としては、「登記事項証明書」に記載があります。たとえば土地であれば「所在、地番、地目及び地積」であり、建物であれば「所在、家屋番号、種類、構造、床面積」です。これらの情報を、登記事項証明書から抜き出し、書き出せばよいのです。
ところで土地を特定するための情報として「住所」を記載する方がいますが、正直あまりおすすめできません。たとえば「札幌市北区〇〇町1丁目1番1号の土地」と記載する方がいるのです。これで特定できたと思っている方もいますが、その後の不動産名義変更手続(相続登記)は、すべて登記事項証明書の記載に基づいて行いますので、遺産目録を作成する段階から、登記事項証明書に従って不動産を特定した方がよいのです。
また、遺産の目録には、不動産の価値を示す情報も盛り込むべきでしょう。
不動産の価値といえば、「売ったときの金額(つまり時価)」であると考える方もいますが、そもそも時価はあまりきちんと把握することができません。なぜかというと、売れた額が時価ですから、売っていない現状では、いくらで売れるか分からないためです。
したがって不動産の価値を示す情報として、客観的な情報を記載すれば済むと考えればよいでしょう。札幌相続相談所が作成する遺産の目録には、固定資産評価証明書の額を記載するようにしています。なお、固定資産評価証明書は札幌の場合は市税事務所で取得できます。固定資産評価証明書は郵送でも取得でき、詳しくは「札幌市 固定資産評価証明書の郵送取得の方法」を参考にしてください。
たとえば、次のように記載するのです。
所在:札幌市東区北四十条十丁目
地番:1番地1
地目:宅地
地積:100㎡
固定資産評価証明額:1000万円
地番:1番地1
地目:宅地
地積:100㎡
固定資産評価証明額:1000万円
預金について
預金については、預金を特定できる情報と、その残額を示せば足ります。預金を特定できる情報としては、銀行等の金融機関名、支店名、口座種類、口座名義人及び口座番号を記載します。残額は、相続開始時の残額と、場合によっては払い出せた額を記載するとよいでしょう(相続開始後に葬儀費用などで引き出しがあった場合は、払い出せた額をベースに遺産分割を行うのが通常だからです)。
たとえば、次のように記載します。
銀行名:北洋銀行
支店名:札幌支店
口座種類:普通預金
口座名義人:法務太郎
口座番号:1234567
相続開始時の額:100万円
払出額:90万円
支店名:札幌支店
口座種類:普通預金
口座名義人:法務太郎
口座番号:1234567
相続開始時の額:100万円
払出額:90万円
なお、被相続人名義の口座でなくても、被相続人の遺産である場合があります。これを、名義預金(借名預金)といいます。たとえば親が子どもの名義で勝手に口座を開設し、そこに親のお金を入れておく場合が名義預金に当たります。
名義預金・借名預金に該当する口座があれば、これも遺産の目録に記載するとよいでしょう。
株式や投資信託等の金融資産について
株式や投資信託等の金融資産についても、遺産目録に記載します。それらの金融資産は、証券会社等の会社ごとに、金融資産を特定するための情報と価値を示す情報を記載するとよいでしょう。特定のための情報は、「証券会社名、支店名、口座番号、銘柄名、保有数」が重要です。価値を示す情報としては、相続開始時の評価額を記載するとよいでしょう。
証券会社:野村証券(札幌支店)
口座番号:11111111
銘柄名と数:〇〇リートファンド 105,320口
相続開始時の評価額 18万5000円
口座番号:11111111
銘柄名と数:〇〇リートファンド 105,320口
相続開始時の評価額 18万5000円
なお、遺産の目録を参考にしながら遺産分割を行う際は、遺産分割協議の日の前日の評価額を記載する人もいます。時価が変動する金融資産については、協議時点の評価額が重要だからです。
相続債務について
相続債務がある場合についても、遺産目録に記載するべきだといえます。相続債務などのマイナスの財産も、相続の対象だからです。相続債務などのマイナスの財産については、「債権者名、債務の内容、額」を記載すればよいといえます。たとえば、次のように記載するのです。
債権者名:札幌市
債務の内容:未納市税
額:10万円
債務の内容:未納市税
額:10万円