遺言書、こんなときは役に立つ
札幌で遺言書の作成をお手伝いしていますが、相談を受けているときに、「遺言書は、どんなときに作成するべきですか」と聞かれることがあります。
人が死亡すると、その遺産は相続人に承継されます。この承継の手続(相続手続)は、遺言書がなくとも、法定の相続分や遺産分割協議によって実行が可能ではあります。したがって、遺言は必ず作成しなくてはならないわけではありません。
しかしながら、遺言書がなければ、遺産分割の協議が円滑に進まなかったり、あなたが遺産をのこしたいと思っていた人が遺産を手にできない恐れもあります。
そんな恐れを少しでも減らすため、今回は特に遺言を作成しておくべき場合を、札幌の司法書士・行政書士がまとめて解説します。札幌でも、遺言書の作成をした方がよい方はたくさんいらっしゃいますので、どうぞ参考にしてください。
1、相続人がいない場合
まず考えられるのは、相続人が全くいない場合です。配偶者、子ども、両親や祖父母(以下「直系尊属」といいます。)、兄弟姉妹といった親族がいないと、原則として遺産は国庫に帰属します。札幌で相続の相談を受けていても、「私が亡くなった後、相続人になる人がいないのですが……」と言われたことがあります。しかし、身の回りの世話をしてくれた人に遺産を分けたい、慈善団体に寄付をしたいといった場合があるかもしれません。このような場合、「相続」という形をとることはできないので、遺言によって死後に遺産を譲り渡すことを示しておく必要があります。
遺言書があれば、全ての遺産を相続人でない特定の人に遺すことも可能です。
ただし、ご自身に相続人がいた場合には、遺留分侵害額請求権(被相続人の意思に関わらず、最低限法律で保障されている遺産の取り分を請求する権利)を行使され、一定の金銭が相続人に取得されますので、注意が必要です。
2、夫婦に子ども、直系尊属がいない場合
配偶者は必ず相続人になりますが、その他の相続人が兄弟姉妹のみである場合、特に遺言書がなければ、配偶者は3/4、兄弟姉妹は1/4を頭数で分割しただけの遺産を相続することになります。このような場合には、遺言によって配偶者に全ての遺産を相続させることが可能です。なぜならば、兄弟姉妹には遺留分が定められていないからです。札幌で遺言書の作成のお手伝いをしていますが、このように「自分が死亡したら相続人は配偶者と兄弟姉妹」という場面で遺言書の作成をされる方が多くいらっしゃいます。
全ての遺産を一人に相続させるという遺言は、このように遺留分権利者がいない場合に特に有効といえます。
3、配偶者の死別後再婚した場合
配偶者に先立たれ、いわゆる熟年再婚をした場合を想定してみましょう。このとき、再婚によって新しい配偶者に1/2の相続権が発生します。そして問題となりやすいのは、先の配偶者との間の子どもと、新しい配偶者の間での遺産分割です。既に子どもも成人していることが想定されますので、遺産分割協議がなかなかまとまらない恐れがあります。
そのような争いを防ぐためにも、再婚後にはあらかじめ遺産の分割について遺言書を作成しておくことをおすすめします。
4、世話をしてくれた子どもに、より多く相続させたい
子どもが複数人いる場合、同居して介護などをしてくれた子とほとんど連絡をとらなかった子とでは、前者になるべく多くの遺産をのこしたいということが考えられます。たとえば、札幌在住のAが遺言書を作成するとして、同居の子供Bにだけ、より多くを相続させたいという場面です。そんな場合には、特に自分の財産の維持、増加に貢献してくれた(寄与分)として、多めに財産を相続させる旨の遺言を作成しておくとよいでしょう。ただし、他の子どもの遺留分を侵害しないよう注意が必要です。
5、子供の配偶者に「相続」させたい
子どもの配偶者は相続人には含まれないため、たとえ被相続人の介護などに貢献していても遺産を相続することはできません。そのため、このような場合には遺言によって子供の配偶者にも遺産を分け与えることを示しておく必要があります。これは相続ではなく、被相続人の死亡により財産の贈与が発生する「遺贈」という形をとることになります。
最後に
以上のように、相続人の有無に関わらず、遺言を作成しておくべき場面は多数存在します。死後の親族間での遺産争いを未然に防ぐためにも、なるべく具体的な、そして全財産を網羅した遺言を作成しておくことをお勧めします。なお、札幌で遺言書作成を多くお手伝いしている立場からすると、遺言書を作成する際は、公正証書の形式で作成することをおすすめしています。札幌市内には二つの公証役場(札幌大通公証役場と札幌中公証役場)があり、そのいずれかで作成していただいています。
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