「検認」は意外と面倒
被相続人の死後に自筆証書遺言が発見された場合、遺族はその遺言書を開封せずに家庭裁判所に持参し、検認を求めなくてはなりません。札幌にある当事務所でも、家庭裁判所への検認申立てのご依頼はまれにあります。
この検認とは、家庭裁判所がその遺言の存在を相続人らに知らしめ、内容や署名などが検認の日時点においてどのようになっているかを確定することを指します。つまり、遺言に記載された情報を確定することで、その後の偽造や変造を防ぐための手続きです。
ここで気を付けたいのは、検認は、遺言書が有効に成立しているか否かを確定する手続きではないということです。札幌・札幌近郊で相続・遺言の幅広い相談を受けていますが、この検認について、誤解されている方が多くいらっしゃいます。たとえ検認がなされても、その遺言書が無効であると争うことは可能なのです。
今回は、札幌の司法書士・行政書士が、その検認の手続きについて解説します。
誰が申立てできるのか
検認を家庭裁判所に請求できる者は、1.遺言書を保管している者
2.遺言書を発見した者
このいずれかです。
相続人であれば誰でも請求できるというわけではありません。実際に札幌で検認申立のお手伝いをした際は、「遺言書を保管している者」が申立人となりました。
どこに申立てするのか
遺言者の最後の住所の家庭裁判所に対して申し立てをします。たとえば札幌市北区を最後の住所地とする者の遺言書であれば、札幌市営地下鉄西11丁目駅近くの札幌家庭裁判所が管轄です。申立てに必要なもの
遺言書の検認申立てには、いくつか必要なものがあります。基本的な提出書類、必要費は以下の通りです。- 検認の申立書
- 遺言書一通あたり800円分の収入印紙
- 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(詳しくは下記参照)
- その他裁判所から指示のあったもの
特に注意が必要なものについて、解説していきます。
相続人全員の戸籍謄本について詳しく
相続人がすでに死亡している場合には、その死亡している相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要となる場合と、死亡の記載のある戸籍謄本のみで足りる場合があります。■1、出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要な場合
- 第一順位相続人が死亡している場合
- 相続人が不在、配偶者のみ、第三順位相続人の場合の父母、第三順位相続人
■2、死亡の記載のある戸籍謄本が必要な場合
- 相続人が配偶者と第二順位相続人の場合の、第二順位相続人
- 相続人が不在、配偶者のみ、第三順位相続人の場合の父母以外の第二順位相続人
※ここでの用語説明
- 「第一順位相続人」 子(相続開始時に死亡している場合、その代襲相続人)
- 「第二順位相続人」 被相続人の父母、死亡している場合祖父母
- 「第三順位相続人」 兄弟姉妹(相続開始時に死亡している場合、その代襲相続人)
配偶者は常に相続人となる一方、その他の相続人はこの順位にならって相続人となるかが決まります。自分より上の順位の相続人がいる場合には、低順位の者は相続人になることができません。法定相続人については「法定相続人と法定相続分」をご覧ください。
具体的な検認の手続き
申立人が検認の申立てをすると、裁判所が相続人に対して検認を行う日を通知します。この検認期日については、申立人以外の相続人は参加自由ですので、欠席しても実施されます。検認期日、申立人は検認する遺言書、申立人の印鑑、その他裁判所から指示のあったものを忘れず持参しましょう。
期日になったら、申立人及び参加した相続人の立会いのもとで遺言書が開封され、その内容などが確定されます。立ち会った人が何か特別なことをする必要はありません。
検認が終わったら
検認が終わり、その遺言書通りに遺言を執行する場合には、遺言書に検認が済んだことを示す証明書が必要となります。一通当たり150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となりますので、これらを持参して申請してください。札幌で遺言作成・遺言検認申立てのご相談なら
当事務所は、札幌・札幌近郊を中心として相続手続・遺言作成・遺言検認申立てのサポートをしております。平日夜間・土日の相談にも対応しております。まずはお電話(011-213-0330)かお問合せフォームからお問い合わせください。※相談は面談形式で対応しております。お電話・メールでのご相談には対応しておりません。
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