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相続開始前の遺留分放棄の三要件

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相続開始前に遺留分を放棄するには

札幌で相続の相談に対応している際に、「遺留分を放棄したいです」と相談者から言われたことがありました。※遺留分の放棄ができることについては、詳しくは「遺留分は放棄できる」をご覧ください。

遺留分を放棄することが可能ですが、相続開始前に遺留分を放棄するためには厳格な要件が要求されています。はっきりいって、相続開始前の遺留分放棄は簡単ではありません。その厳格な要件とは、次の三つです。札幌以外の方もぜひ参考にしてください。

  • 1、遺留分の放棄が本人の自由意思に基づいている
  • 2、遺留分の放棄に合理的な理由・必要性がある
  • 3、遺留分放棄の見返りがある


今回は、相続が始まる前の遺留分の放棄の仕方について、上記の三要件を解説します。

1、遺留分放棄が本人の自由意思に基づいている


遺留分は、相続人の利益を守るための制度です。そのため、これを放棄するためには当然本人が自ら望んでいる必要があります。札幌で受けた相談の際は、相談者自らその意思があるようでした。

遺留分の放棄は、一度なされたらその後原則撤回することができません。そのため、本当に相続人があえて遺留分を放棄することを望んでいるかを精査する必要があります。

当然、遺留分放棄の手続きは、相続人本人が行うことになっています。

しかしながら、本当に本人が外部からの圧力なく放棄を望んでいるのかを裁判所が見分けることは困難です。そこで、より客観的証拠から判断できる残り二つの要件が求められているのです。

2、遺留分放棄に合理的な理由及び必要性がある


次に、仮に相続人が遺留分を不要であると感じ自ら放棄を望んでいたとしても、その遺留分の放棄に必要性と合理的な理由がなければやはり認められません。権利の放棄なのにここまで難しいのは、遺留分制度の趣旨が残された相続人の保護にあるためです。

では、合理的な理由や必要性とは具体的に何を指すのでしょうか。この点については画一的な基準はないため、具体的な裁判例をみてみましょう。

自分に資力が十分あるため、遺留分は不要だという主張では、相続開始前の遺留分放棄はできません(東京家裁昭和35年10月4日審判)。

つまり、単純に相続人自らが「お金持ちだからお金はもう要らない」という理由での遺留分放棄はできないということです。※できないのは相続開始前の遺留分放棄であって、相続開始後の遺留分放棄はもちろん可能です。相続開始後の遺留分放棄については「遺留分は放棄できる」をご覧ください。

また、将来的に別の財産を譲り受ける約束があるからという理由でも、その確約がないため合理的な理由があるとは認められません(神戸家裁昭和40年10月26日審判)

こうした例の一方、より遺産を得る必要がある相続人がいる場合や、この後にも関係しますが既に一定程度財産を譲り受けているような場合(たとえば札幌のAが、親から生前に多くの財産を贈与されているような場合)には、合理的な理由と必要性が認められる傾向にあります。

遺留分放棄の見返りがある


最後に、何の利益もなく自分の権利を手放すようなことは裁判所が防ぐ必要があります。そこで、放棄した遺留分の額に見合う経済的利益を相続人が得ることを求めています。

たとえば、既に不動産や預金を譲り受けていることが考えられます。そしてこの経済的利益については、相続開始以前又は相続と同時に獲得されていることが求められます。将来的に獲得する予定といった場合には、確約がないため認められないのです。

最後に

以上のように、相続開始前に遺留分を放棄するためには、相続人の利益をより確実に保護するため合理的な理由や他の経済的利益などが求められます。

しかし、遺留分の放棄は義務ではありませんし、そもそも遺留分侵害額請求自体が相続人の権利であり、その行使は義務付けられていません。

遺留分の放棄は一度なされれば原則撤回ができない行為であるため、放棄を考える場合には本当に必要かをよく検討することが大切です。詳しくは専門家に相談した方がよいでしょう。

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遺留分は放棄できる

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さて、札幌で相続手続のご相談に応じていると、様々なことを聞かれます。遺留分についても、よく聞かれることの一つです。

そもそも遺留分とは、相続人に一定の相続分を保障することで、相続人の保護を図る制度です。たとえば札幌市中央区のAが遺言で、第三者であるZに「札幌の不動産を含むすべての財産を遺贈する」としていた場合に、Aの相続人であるBは、Zに対して一定の相続分に相当する金銭を払えということが可能なのです(遺留分侵害額請求)。このように遺留分は相続人を守るための制度ですので、相続人自身が不要と感じた場合には、遺留分権者それぞれが放棄することが可能です。ここで、遺留分の放棄について、相続に強い札幌の司法書士が解説します。

※遺留分の基礎を知りたい方は「知っておきたい「遺留分」の基礎」をご覧ください。

遺留分の放棄は、相続開始の前後(つまり被相続人の死亡前か死亡後か)により、その方法が異なります。

相続開始前の遺留分の放棄

まず、相続開始前についてみていきましょう。たとえば札幌市中央区のAが亡くなる前に、その子供であるBが「自分はAの相続について何もいらない。札幌の不動産を含め、一切を相続したくない」と思っているような場面です。

相続開始前、つまり被相続人が死亡する前の遺留分放棄を自由に許すと、他の相続人や被相続人などが放棄を強要するおそれがあり危険です。遺留分制度は、相続人を保護するための制度なので、遺留分の放棄も相続人の自由意思に基づくことが重要です。

そこで、相続の開始前には、家庭裁判所の許可を得なければ遺留分を放棄できないことになっています。申し立てを受けた家庭裁判所は、この遺留分の放棄が相続人の意思に基づくのか、合理的な理由があるか等を考慮して許可を判断します。札幌で各種裁判所提出書類の作成という形で種裁判手続のお手伝いをすることがありますが、遺留分放棄についても、相続の相談時に聞かれたことがあります。

なお、相続開始前の遺留分放棄は、簡単ではありません。遺留分を放棄してしまうことで、後に相続人になるはずの者の生活が破綻してしまうことだってあるのです。したがって、相続開始前の遺留分放棄には要件があり、この要件をクリアしていなければ認められません。相続開始前の遺留分放棄の要件については「相続開始前の遺留分放棄の三要件」をご覧ください。

相続開始後の遺留分の放棄

では、相続が開始した後はどうなるのでしょうか。札幌で相続の相談を受けているときによく聞かれるのが、この相続開始後の遺留分放棄です。たとえば札幌のAが死亡した後、札幌の不動産を含むすべての財産を第三者に遺贈する旨の遺言書があることを知った相続人Bが、「自分は何もいらない。遺留分侵害額請求などしない」という意思決定をすることがあるのです。

この場合、遺留分をもつ相続人は自分で自由に遺留分を放棄することができます。家庭裁判所の許可をあおぐ必要もありません。単純に、遺留分の侵害額請求をしなければそれでよいのです。

札幌に限らず全国でも、遺留分を侵害する遺言書等があったにもかかわらず、遺留分の主張をしない相続人はたくさんいます。みんなそれぞれ、被相続人の意思を尊重し、納得の上で請求しないのでしょう。

遺留分の放棄の効果

気になるのは、遺留分を放棄した場合のその効果です。

遺留分を放棄した相続人がいたら、他の者の遺留分がその分だけ増えると思う方もいるでしょうが、それは違います。一人の遺留分権者が遺留分を放棄したとしても、他の遺留分権者に影響はありません。相続放棄のように、相続人のうちの誰かが放棄したからといって、その他の相続人の取り分が増えるわけではないのです(また、遺留分の放棄と相続の放棄は意味が異なるため、注意が必要です)。※相続放棄について「相続放棄とは~借金の相続を回避~」をご覧ください。

遺留分の放棄は、単に遺留分をもたない相続人となるだけです。したがって、相続が開始した時点で相続財産があれば、遺留分を放棄した者もそれを相続することが可能です。 逆に言うと、遺留分を放棄して、かつ相続財産が残っていない場合でも、債務は相続してしまいます。これを避けるためには、相続自体の放棄が必要である点は注意しなければいけません。

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